「以前より広告の反応が悪くなった」「広告費は増えているのに利益が残らない」。ここ数年、多くの経営者やマーケティング担当者から、このような相談を受ける機会が増えました。広告の競争は年々激しくなり、クリック単価や獲得単価(CPA)は上昇を続けています。以前と同じ広告費を投下しても思うように新規顧客を獲得できず、利益率が圧迫される。これは通販業界だけでなく、多くの業種で共通する課題になっています。もちろん、広告は企業が成長していくうえで欠かせない重要な手段です。しかし、広告だけに依存する経営には少しずつ限界が見え始めています。だからこそ今、多くの成長企業が力を入れ始めているのが「広報」という考え方です。今回は成長できる会社が始めている広報戦略についてをお伝えいたします。お時間ある際にぜひお読みくださいませ。

広報というと、「新聞やテレビに取り上げてもらう活動」というイメージを持たれる方も少なくありません。しかし、本来の広報とは、自社の価値や想い、取り組みを社会に伝え、企業への信頼を積み重ねていく活動です。新商品が生まれた背景や開発へのこだわり、代表が事業に込める想い、社員の挑戦、地域との取り組み、お客様とのストーリー。こうした情報を継続して発信することで、「この会社は信頼できそう」「一度試してみたい」「応援したい」という感情が少しずつ育まれていきます。
実は、この積み重ねが広告の成果にも大きな影響を与えます。同じ広告を見ても、初めて目にする会社と、以前からSNSやホームページ、メディアなどで存在を知っている会社では、お客様が感じる安心感はまったく違います。その安心感がクリック率や購入率、問い合わせ率を押し上げる要因となり、結果として広告効率の改善につながるのです。つまり広報は広告の代わりではなく、広告の成果を最大化するための土台と言えるでしょう。
実際に、ある通販企業では広告だけに頼った集客を続けていた結果、CPAの上昇によって利益率が大きく低下していました。そこで商品の機能や価格だけを訴求するのではなく、開発ストーリーや生産者の想い、品質へのこだわりなどをホームページやSNS、プレスリリースを通じて継続的に発信する取り組みを始めました。すると、「以前からこの会社を知っていました」「SNSを見て気になっていました」というお客様が増え、広告経由であっても購入率、商品継続率が改善。広告費を大幅に増やすことなく売上を伸ばすことができました。
また、BtoB企業でも同じような変化が起きています。技術力や品質だけでは差別化が難しい市場において、自社の考え方や事例、社員紹介、地域活動などを積極的に発信した結果、「この会社に相談したい」と問い合わせが入るケースが増え、商談の段階から信頼関係が築かれているため、価格競争に巻き込まれにくくなったという事例もあります。どちらの企業にも共通しているのは、「商品」だけではなく、「会社そのものの価値」を発信し続けていることです。
広告は止めれば集客も止まります。しかし広報は続けるほど企業の信用やブランドという資産が積み上がっていきます。ホームページの記事、SNSでの情報発信、メディア掲載、講演活動、お客様の声、地域とのつながり。一つひとつは小さな積み重ねかもしれませんが、それらは将来の問い合わせや紹介、採用、そして売上につながる大切な経営資産になっていきます。
広告費が上がり続けるこれからの時代、企業が考えるべきことは「広告をどう改善するか」だけではありません。「広告に頼りすぎない会社をどうつくるか」という視点が、これまで以上に重要になってきます。広告で認知を広げ、広報で信頼を育てる。この二つが両輪として機能して初めて、広告費が上昇する環境でも持続的に成長できる企業になります。
これから先、競争力を決めるのは広告予算の大きさだけではありません。自社の価値を社会にどう伝え続け、どれだけ信頼を積み重ねられるか。その積み重ねこそが、5年後、10年後の企業の成長を大きく左右する時代が、すでに始まっています。自社の運用状況はいかがでしょうか。まずは一度チェックしてみてください。何か見えてくることがあるかもしれません。
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